相続した家が空き家で誰も住んでないけど相続税へかかるの?被相続人が空き家を持っていたけど、どうしたらいいの?
今住宅総数の13%が空き家と言われているため、この先空き家を相続するケースも増えていくと考えられています。実際、相続が関わってきた時はどうなるのか不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、空き家を相続した場合、相続税はどうなるのか見ていきましょう。

空き家でも相続税はかかる?

空き家で誰も住んでないなら相続税はかからないのではないか、と思っている方もいらっしゃいますが、残念ながら土地と建物を相続したとして、相続税がかかってしまいます。
被相続人と一緒に住んでいた住宅の場合、小規模宅地の特例という特例が利用できるため相続税が大幅に減額できます。しかし被相続人が亡くなることで空き家になる場合、その後は誰も済まないのでこの特例を利用することはできません。また、被相続人が空き家を所有していた場合も、被相続人が住んでいなかったのであればこの特例は利用できません。
そのため、残念ながら相続をしてしまった後では、空き家であっても他の財産と同じように扱う必要があります。
では、誰も住んでいない土地や家に高額の相続税を支払わなければならないのかというと、いくつか相続税対策もあります。

相続発生後の空き家の相続税対策

相続が発生した後で空き家の相続税対策をする場合、下記の2つの方法になります。
①空き家に住んで小規模宅地等の特例を利用する
②相続した空き家を売却して所得控除を利用する

空き家に住んで小規模宅地等の特例を利用する

小規模宅地等の特例とは、被相続人と一緒に住んでいた住宅を相続した場合、相続人の生活に負担がかかりすぎないように、相続税を減額できる特例です。
被相続人が亡くなることで空き家になるということは、一緒に住んでいなかったということになるため、下記の条件を満たしていることが前提となります。
・被相続人に配偶者や同居の親族がいない
・相続人は過去にその家を所有したことがない
・相続した卓志を相続税の申告期限まで所有する
・相続人は、相続の3年前までに「自分、または配偶者」、「3親等以内の親族」が所有する家に住んだことがない

この条件は、持ち家のない相続人が空き家になる家に住むことを前提としているため、「家なき子の特例」とも呼ばれています。

相続した空き家を売却して所得控除を利用する

家なき子の特例を利用することが難しければ、相続した空き家を売却して所得税を節税する方法があります。
平成28年の法改正で創設された「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」では、相続した空き家を売却した場合、譲渡所得から3,000万円まで控除することができます。ただ、下記の条件があります。
・家を土地の両方を相続していること
・空き家の売却価格が1億円以下であること
・相続する空き家を、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却すること

相続発生前の空き家の相続税対策

相続が発生する前であれば、別の相続税対策があります。
①生前の売却で特例の控除を利用する
②賃貸に出して、小規模宅地等の特例を利用する

生前の売却で特例の控除を利用する

空き家を相続して高額な相続税がかかるのであれば、相続の発生前に売却することも選択肢の1つになります。相続税対策になるだけでなく、先に売却して現金化しておくことで、相続をスムーズにするというメリットもあります。
生前に売却すれば、所得税の「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を利用することができます。この特例では、家を売却した時に得られる譲渡所得から3,000万円まで控除することができ、所得税を大幅に減らすことができます。
ただ売却価格によっては、現金化すると相続税が高くなる可能性もあります。もし売却したほうがいいかどうか知りたい方は、一度税理士に相談してみるのがおすすめです。

賃貸に出して、小規模宅地等の特例を利用する

空き家を賃貸に出すことで、小規模宅地等の特例を利用できることがあります。小規模宅地等の特例は被相続人が保有していた賃貸物件でも利用することができ、賃貸を継続すれば土地の相続税評価額を50%減額することができます。
ただ、この特例は相続発生までに3年以上賃貸をしていなければならないため、亡くなる直前に賃貸に出した場合は適用することができません。

空き家のまま放置は危険

親が住んでいた家を相続したものの、すでに自分たちが住む家はある、家が離れているためそちらに引っ越すことは考えられない、という状況で、空き家のまま放置されるケースは多いです。家は取り壊すのにもお金がかかりますし、田舎であれば土地も高く売れないことから、放置されることが多いですが、放置されている空き家が「倒壊等の危険」「衛生上の有害」など危険な空き家として勧告を受けると、固定資産税が減額されなくなることが決まりました。
そのため、危険な空き家として勧告を受けたら、そのまま保有していると固定資産税がかかり、かえってコストが高くなることになります。
そうならないためにも、空き家は放置せず早めに対処することをおすすめします。

まとめ

空き家、というと誰も住んでいないし相続税はかからないのではないか、と思っているかたも多いですが、空き家であっても普通に土地と家を相続した時と変わらず相続税は発生してしまいます。
相続が発生する前と後では、できる相続税対策は違いますが、そのまま空き家を放置してしまい「危険な空き家」として勧告を受けると、かえってコストが高くなることもあります。空き家を相続したけどどうしていいか分からない、空き家がある