仏壇やお墓などに相続税はかからない、と聞いたことはありませんか。仏壇やお墓などの祭祀財産は、お金に換えられる財産ではなく、ご先祖様を崇拝するためのもので、国民の感情を考慮して非課税とされています。

では、仏壇やお墓であればどんなものでも相続税はかからないのでしょうか。

また、祭祀財産で相続税対策することはできるのでしょうか。

仏壇やお墓は相続税が非課税

仏壇やお墓などの祭祀財産は、相続税が非課税となっています。
祭祀財産には、仏壇や仏具、墓地、墓石が該当します。

民法によって、祭祀財産は土地や家などの普通の財産とは区別すると決められていて、課税対象から外されています。
そのため、生前に仏壇やお墓を購入しておくことで、相続税対策につながります。

仏壇やお墓ならなんでも非課税?

では仏壇やお墓ならなんでも非課税になるのかというと、そういうわけではありません。
国税調査官のホームページでは、「骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。」と記載されています。

例えば、相続税を免れようと、純金製の仏像や仏具を購入する方もいます。基本的に高価なものであっても、祭祀財産であれば非課税なので、相続税はかかりません。しかしそれが何体もあるようだと、税務署からチェックが入った時に、さすがに言い訳できません。税務署は、被相続人やその親族のお金の流れを、3〜5年ほど遡っ調査することができます。そのため、たとえ仏像一体であっても、常識の範囲を超えて高価なものは、課税対象となる可能性が高いです。

純金製の仏像や仏具で相続税対策はできない?

相続税対策として、仏壇やお墓を購入するのは有効です。どのみち購入しようと思っていたものであれば、お金を残して財産としてカウントされるより、仏壇を購入しておいて非課税になったほうが、相続税対策になります。

それを目当てで純金製の仏像や仏具を購入する人はけっこういます。金をそのまま購入してしまうと、財産と見なされ相続税が課せられます。
しかし仏具であれば相続税が課せられず、相続税の申告納税が終わった後に売却し、お金を手元に残すことができます。

それを目的として、純金製の仏像や仏具を購入する人がいますが、先ほど説明した通り、税務署のチェックが入った場合、先祖を崇拝するという本来の目的ではなく、投資の対象として購入したもの、と見なされてしまい、相続税が課せられます。

また、例えば金の仏像を100万円で購入したとします。相続税の申告納税が終わった時に100万円で売れるかというと、それは別の話です。というのも、仏像は金の材料費以外に加工費も含まれています。加工費が80万円だとしたら、金の材料費は20万円になります。それを中古品として売るので、実質さらに安い値段で売ることになります。
また、金は相場が変動するため、購入する時に金の相場が高く、売る時に安かったとしたら、その分損をすることになります。
これらのことを考えると、100万円で購入しても、売る時はかなり低い金額にしかならない可能性が高いでしょう。そのまま100万円を相続したほうが、相続税はかかりますが、手元に残るお金としては高くなるので、純金製の仏像や仏具を購入して相続税対策をする、というのはあまり現実的ではありません

仏壇やお墓を購入するならタイミングに注意

仏壇やお墓を購入するのであれば、タイミングも重要です。というのも、相続税が課せられない、というのはあくまで被相続人が生前に購入しているのに限られるからです。相続が発生してから、相続人が被相続人の財産で購入しても、それは非課税ではありません。
また、ローンで購入していてローンが残っている場合、本来であればマイナスの財産として他のプラスの財産から差し引くことが出来ますが、祭祀財産のローンに関しては差し引くことができません。そのため、ローンで購入していても、ローンを払い終わっているか、現金一括で購入するのがおすすめです。

まとめ

仏壇やお墓などの祭祀財産は、被相続人が生前に購入していれば、相続税の課税対象から外れるため、相続税対策になります。しかし、度を超えた高額なものや、後で売却するために純金製のものを購入した場合、税務署のチェックが入った際に、課税対象となる可能性があります。
もともと購入を考えていた場合は、生前に購入することで相続税対策できますが、その制度を利用して、もともと購入の予定がないものを高額で購入したり、後で売却する用に購入するのはやめておきましょう。