大切な人が亡くなると、精神的にも負担がかかるだけでなく、葬儀などでバタバタと慌ただしい日が続きますよね。しかしそれでも、法律で定められた期限があり、期限内に手続きをしなければならないこともあります。
では、相続が発生したら何をしなければならないのでしょうか。

遺産相続が発生したらやることリスト

1.遺産を調査する

相続税の手続きをする前にまず、被相続人の遺産には何があったのか、調査することから始めてみましょう。
遺産には現金や貯金だけでなく、不動産や土地、株式、貴金属も含まれます。これらはプラスの財産ですが、借金やローンなどマイナスの財産もあるかもしれません。人によってはマイナスの財産が多く、相続放棄をしたい、ということになる可能性もあります。

まず、遺産を相続するのかどうか、相続放棄するのか、ということを考えるためにも、遺産を調査しましょう。

遺産に何があるかリスト化できたら、それぞれ評価額を調べます。土地や不動産に関しては評価額を調べるのは素人では無rに近いです。ここを間違えて、本来より低く評価してしまい、相続税を安く申請してしまうと、後からペナルティが課せられることもあるので、税理士に依頼するようにしましょう。
株式や投資信託も、評価額を調べるのが難しければ税理士に依頼しましょう。

ざっと相続財産がいくらあるか分かったら、相続税もどれくらいになりそうか分かります。それを踏まえて、相続するかどうかを決めていきます。

2.相続放棄するなら3ヶ月以内に手続きを

もし相続放棄をするのであれば、相続が発生してから3ヶ月以内に手続きする必要があります。家庭裁判所に申し出をして手続きするので、それまでに遺産をリスト化して相続するかどうか決めましょう。

また、事業を継承したいから相続したいけど、借金やローンなどマイナスの財産もあるから相続をどうしていいか分からない、という場合や、どうしても相続したい財産があるけど全部相続したらマイナスのほうが大きく相続できない、という方は「限定承認」という方法もあります。限定承認では、借金をプラスの財産と同額まで減らして手続きすることができます。限定承認の手続きも、相続が発生してから3ヶ月以内にする必要があるので、どちらにせよ早めに遺産を調査し、相続するかどうかを決めましょう。

3.遺言書があるか確認する

遺産を誰が相続するか、どれくらいずつ相続するのか、ということは、遺言書がある場合は基本的に遺言書通りに行うことになります。逆に遺言書がなければ、法律によって定められた法定相続人が話し合いをして決めますが、そもそも遺言書があるかどうか、ということで、誰が相続するか変わってきます。そのため、遺言書が残されていないかどうか、早めに確認するようにしましょう。
気をつけたいのが、遺言書が見つかったとしても、決して開封しないことです。実は見つけたからといって勝手に遺言書を開封してしまうのは法律違反なんです。5万円以下の罰金が課せられることもあるので、注意しましょう。
遺言書が見つかったら、相続人全員に知らせて家庭裁判所で開封してもらいます。これを検認と言いますが、検認が必要な理由としては、遺言書が誰かの手によって勝手に書き換えられていないか、遺言書が本物かどうかを確かめなければならないからです。
そのため、開封する時は家庭裁判所に申し立てをして、検認してもらいましょう。

4.遺産分割協議書を作成する

もし遺言書がなかった場合、誰が何を相続するか、というのを、遺産分割協議書にまとめます。遺産分割協議書は、法定相続人が集まって話し合い、誰が何を相続するのかを書面に残したものです。特に、不動産など名義変更が必要なものは、名義人を誰にするのか、なども重要になってきます。
何も無ければ法定相続分に基づいて分配しますが、話し合いがまとまれば法定相続分に関係なく分配することも可能です。例えば、母親が亡くなって子供たちで相続する際、介護をしていた長男は遺産の取り分を多くしよう、などという具合にです。相続人全員が合意していれば、誰がどのくらい遺産を相続することにしても構いません。

5.各種名義変更手続きをする

遺産を相続することになったら、それぞれ名義変更手続きをしましょう。
特に土地や不動産は、名義変更は義務付けられていませんが、被相続人名義のままにしておくと、売却したっり人に貸し出すことはできません。さらに、その状態で相続人も亡くなってしまうと、その後の手続きがどんどん複雑になり、最悪名義変更できなくなることもあるので、名義変更はしておきましょう。
必要書類を持って法務局に行き手続きをします。しかし書類を作成したりするのに手間がかかるため、税理士に依頼して手続きするのが一般的です。名義変更には登録免許税という税金がかかり、不動産価格の0.4%が請求されるので、準備しておきましょう。

銀行口座や投資信託なども名義変更しましょう。各金融機関に問い合わせれば、手続き方法も教えてもらえます。

6.相続税の申告

相続した財産の金額にもよりますが、もし基礎控除額を超えていた場合、相続税の申告が必要になります。
基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数、で求められます。
もし法定相続人が1人なら3,600万円、2人なら4,200万円、と法定相続人が多いと基礎控除額も増えます。

この基礎控除額を超えていなければ、相続税がかからないだけでなく、申告も必要がありません。
超えていたら申告が必要になるので、書類を作成します。
相続税の申告書は税務署の窓口か国税庁のHPから入手できますが、中には自分で用意しなければならないものもあります。

相続税の申告は税理士に依頼がおすすめ

相続税の申告は、例えば財産が現金や預金だけなら計算もそこまで複雑になりませんが、不動産や土地があったり、株式があったりすると、税理士でも計算が難しく何度も計算をすると言われています。
もちろん依頼費用がかかってしまいますが、もし計算ミスをしていたり漏れがあり、後で税務署にバレてしまうと、延滞税や加算税などのペナルティが課せられることになります。特に、税理士に依頼せずに申告すると、後から税務調査の対象になりやすいため、自分たちで作成する労力のことも考えると、税理士に任せてしまうほうがおすすめです。

7.納税する

申告ができたら、申告通りの金額を納税しましょう。

まとめ

相続が発生すると、悲しみに浸る時間も与えてもらえないくらい、やらなければならないことが待っています。
まずは財産がどのくらいあるかを調査する必要があり、場合によっては相続放棄や限定承認を選択することもできます。ただ、相続放棄や限定承認は相続が発生してから3ヶ月以内に行う必要があるので、できるだけ早く財産を調査し、相続するかどうかを決めましょう。
また、誰が何を相続するのかを決める際、遺言書があれば基本的に遺言書通りに相続することになるので、遺言書があるかどうか探しましょう。ない場合は相続人同士で話し合い、遺産分割協議書を作成します。
各相続人の取り分が決まったら、それに基づいて相続税の申告書を作成して提出し、相続税を納付しましょう。