相続が発生したからといって、必ずしも相続税の申告書を提出するわけではありません。課税対象額が基礎控除額を超えていた場合に申告書を提出しますが、提出先はどこになるのでしょうか。
被相続人が海外に住んでいた場合などは、何か違うのでしょうか。

相続税申告書の提出先は?

相続税申告書の提出先は、被相続人が住んでいた住所地を管轄する税務署になります。
注意したいのが、相続人の住所地ではなく、被相続人が住んでいた住所地を管轄する税務署になります。

例えば、被相続人が大阪に住んでいて、相続人が東京に住んでいる場合は、東京ではなくて大阪の税務署に提出することになります。

また、「住んでいた場所」というのは実際に生活をしていた場所なので、住民票が別の場所にある場合は、住民票のある場所ではなく、生活をしていた場所が基準になります。
以下のような場合は、住民票がある住所ではなく生活の拠点になっていたほうが選ばれます。

ほとんどを自宅ではなく別荘で過ごしていた

この場合は、ほとんど別荘で生活をしていたことになるので、申告書の提出先は別荘がある住所のほうになります。

単身赴任をしていた

単身赴任をしていた場合は、赴任先と自宅、どれくらいの割合で生活していたのかによって変わってきます。
ほとんどを赴任先、たまに自宅に帰っていた、というような場合は、赴任先の住所が選ばれます。

老人ホームに入っていた

自宅は残したまま、老人ホームに入っていた場合、生活の拠点は老人ホームになるので、老人ホームの住所が選ばれます。

ではもし被相続人が海外に住んでいた場合はどうなるのでしょうか。

被相続人が海外に住んでいた場合は?

被相続人が海外に住んでいた場合、もちろん海外に日本の税務署はありませんので、日本で納めることになります。
もし相続人は日本に住んでいる、という場合は、被相続人の住所ではなく相続人の日本の住所を納税地とします。
相続人も海外に住んでいた場合、日本国内のどこかの税務署を自分で指定して申告します。以前住んでいた住所か、もし代理人に申告を依頼する場合は代理人の住所を指定するのが一般的です。

ただ、被相続人や相続人が海外に住んでいたとしても、以下の場合は日本に住所があると判断されます。

  • 海外赴任していて、期間が概ね1年以内である
  • 日本国内に居住する親族に扶養されている人が海外留学している
  • 長期出張などで一時的に日本を離れている

これらの場合は、日本に住所があると判断されるので、その住所を納税地とします。

住所地を管轄する税務署の調べ方

では住宅地の選び方が分かったら、その住宅地を管轄する税務署がどこになるのか調べてみましょう。
調べる時は、国税庁のホームページから探します。(住所、郵便番号、地図から探すことができます。)
「管轄地域」の欄を見て、住所地を管轄する税務署名をクリックします。
税務署の紹介ページで、被相続人の住所地が含まれているか確認します。

例えば、被相続人の住所地が板橋区だった場合、まず国税庁のページの「地図から税務署を調べる」から東京都をクリックします。管轄地域の欄に「板橋区」があるので、板橋の税務署をクリックします。
管轄地域にも、板橋区と表記してあるので、ここが相続税申告を提出する税務署になります。

まとめ

相続税申告の提出先は、相続人の住所を管轄する税務署ではなく、あくまで被相続人の住所を管轄する税務署になります。
また、住所というのは住民票がある場所ではなく、実際に生活の拠点になっていた場所です。転勤で自宅にあまり帰っていない場合や、老人ホームに入っていた場合は、自宅ではなくそちらの住所が選ばれます。
税務署の調べ方は簡単で、国税庁のホームページから、住所を入力したり地図から選ぶだけで、管轄する税務署を調べることができます。税理士に手続きを依頼する場合は、税理士からも教えてもらえるので、気になった方は一度聞いてみましょう。