誰しもが相続税は安く抑えられたらな、と思いますよね。
しかし実際には、相続税を本来より多く支払っている人が7割近くいると言われています。
どうしてそのようなことが起こるのでしょうか。
また、相続税を支払いすぎてしまっていた場合、どのようにしたら還付されるのでしょうか。
相続税を支払いすぎてしまう理由とは?
相続税を支払いすぎてしまうのには、いくつか理由があります。
理由1.自己申告という落とし穴
例えば固定資産税などは、各自治体が調査をし、納税者に通知する「賦課課税制度」がとられています。納税者側から申告する必要もありませんし、日常的に評価作業を行っている担当者により算定されるため、評価に大きなずれが生じるようなことはありません。
しかし、相続税の申告は『自己申告制』です。納税者自ら、遺産の総額を割り出し、相続人ごとの取り分を決め、相続人ごとの相続税額を算出して申告しなければなりません。遺産が預貯金や現金だけの場合は計算もしやすいですが、土地や不動産などがある場合、その評価額を算出するのには複雑な計算が必要になります。
また、各相続人の相続税金額を割り出す際も、人によっては控除が利用できますが、その計算も慣れていないとどうしても見落としてしまいがちです。その結果、どうしても余分に相続税を支払ってしまっている、ということが起こりやすいんです。
理由2.周りに間違いを指摘してくれる人がいない
相続税に関すること、というのは親族や友人、たとえ家族であったとしても、同じ遺産を相続しない人には相談しづらいものです。
私はこれだけの遺産を手にします、ということを公表するようなものなので、親しい友人であっても相談しづらいですよね。
また、もし相談できる相手がいたとしても、相続というのは一生のうちに何度も経験するわけではありません。また、相続税というのは10人いれば10人、遺産の金額も、相続する人も、利用する控除も変わってくるため、全く同じというわけにはいきません。
そうなると、相談相手がいたとしても、的確なアドバイスが返ってくるとは限りません。
税務署も、申告された相続税は基本的に『申告内容が正しいもの』として見ています。
もし相続税が多く申告されていたとしても、税務署が必ず指摘してくれるわけではありません。
そのため、親族や知人だけでなく、税務署もからも指摘されず、間違いに気がつかず申告してしまう、ということが起きやすいんです。
理由3.税理士でも慣れていないと計算が複雑
税理士に依頼すれば間違いない、と思うのが普通です。もちろん、お金を払って依頼している以上、ミスがあってはならないのは当然です。
しかし、税理士であっても得意な専門分野でなければ相続税の計算は難しいとされています。
特に、土地や不動産の相続が合った場合は計算がとても複雑になります。
線路沿いにある土地や、道路に面していない土地、高圧線が上を通る土地、墓地に面する土地、正方形や長方形でない不整形土地などは、評価額が減額されるため、普通の土地よりも計算が複雑になります。また、これらの条件が2つ以上絡み合うと、さらに複雑になってきます。
税理士、と一言で言っても、相続税に詳しい税理士とそうでない税理士がいます。
医者にも、小児科、内科、外科などがあるように、税理士にも実は分野が色々あります。税理士の資格を取るのに、会計や経理といった分野は必須科目として勉強していますが、相続税に関しては必須科目ではありません。また、計算が複雑な不動産の分野も必須科目ではないため、選択して勉強していない限り、ほとんど知識がない税理士もいるほどです。
それくらい、税理士が勉強しなければならない範囲は広いので、相続税に詳しくない限り、計算間違いが起きやすいんです。
もしこれから相続税の相談を税理士にする場合は、ホームページを見たり口コミなどで、相続税の実績が多い税理士を選ぶようにしましょう。
相続税の還付の手続き方法
相続税を支払い過ぎていた場合、5年10ヶ月以内であれば「更正の請求」という手続きで還付を求めることができます。
ただ、還付の審査には3ヶ月~半年ほどかかる場合があります。この審査の期間も含めての5年10ヶ月ですので、5年を過ぎている場合は急いで手続きを進めるのがおすすめです。
ただ、あきらかに税理士がミスを起こしていた場合は、
手続きは、相続税に強い税理士に依頼するようにしましょう。また、相続税の計算は不動産で間違えることがほとんどなので、不動産鑑定士と連携している税理士はとても強いです。
費用は完全成功報酬型を採用している事務所がほとんどですので、そういった事務所を選ぶようにしましょう。だいたい、還付金の25%~35%程度を成功報酬としているところが多いです。すごく多いように思えますが、相続税の還付は、平均で1,200万円と言われています。そのため、成功報酬金額を支払っても、900万円近くが手元に返ってくることになります。
手続きをするにあたっては、最初の相続税の申告書を税理士事務所に持って行くだけで大丈夫です。
あとは事務所のほうで必要な書類を作成してくれるので、申告書の控えやファイルを持って行きましょう。
審査には3ヶ月~半年ほどかかるのが一般的です。審査が通り、還付されることが決まれば、1ヶ月程度であらかじめ指定しておいた口座にお金が振り込まれます。
まとめ
相続税は自己申告制なうえ、計算が複雑になることが多いので、間違いが起きやすい申告になります。
事実、申告の8割近くが税務署から誤りを指摘されています。
税理士に依頼したとしても、相続税の計算や不動産に詳しくない税理士だと、どうしてもミスが起きやすいです。
もし申告間違いをしていて、多く相続税を支払っていた場合、5年10ヶ月以内であれば還付の申請をすることができます。
また、それを過ぎていたとしても、明らかに税理士がミスをしていた場合は応じてもらえることもあるので、過ぎていたとしても諦めないで依頼してみましょう。費用は完全成功報酬型をとっている税理士事務所がおすすめです。