相続をする時に気になるのが、相続税はいくら払わなきゃいけないのか、ということではないでしょうか。日本の相続税は、世界的に見てもとても税率が高く、他の税金と比べてもかなり税率が高いと有名なので、いったいどれくらい税金を支払わなければならないのか、心配に思っている方も多いです。しかし実際に、相続税を支払う人は全体の1割にも満たないと言われています。
では、相続税の税率は何%なのでしょうか。また、相続税を支払わなくていい場合はどういった場合なのでしょうか。

相続税の税率は何%?

相続税の税率は下記のようになっています。

法定相続分に応ずる取得額 税率 控除額
1000万円以下 10% 0円
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

最高で55%と、他の税率と比べてかなり高くなっています。このように、相続する遺産が多いほど税率が高くなっている理由としては、相続は何もせずに利益を得られることから、「不労所得」と同じものとして扱われています。裕福な家庭ほど相続で得られる不労所得が多くなり、貧富の格差が広がってしまう、ということから、相続額が多いほど相続税の税率も高く設定されていると言われています。

法定相続分とは?

では上の表の、法定相続分とは何でしょうか。
法定相続分とは、法律によって定められた相続人(法定相続人)のそれぞれの遺産の取り分のことです。相続の際、遺言書がある場合とない場合がありますが、法定相続人、法定相続分は遺言とは関係なく、法律によって定められた人と取り分です。
相続税の計算には、いったんこの法定相続分を利用します。
法定相続人には順位がつけられていて、順位が高いほど優先されます。

順位1.子供、孫
順位2.父、母、祖父母
順位3.兄弟姉妹

配偶者がいる場合はそれぞれに配偶者が追加されることになります。

例えば、配偶者と子供2人がいる場合、配偶者と子供2人の合計3人が法定相続人となります。法定相続分は、配偶者が1/2、残りの1/2を子供2人が均等に分けます。
配偶者と父母がいて子供がいない場合、配偶者と父母の合計3人が法定相続人となります。法定相続分は、配偶者が2/3、残りの1/3を父母が均等に分け、それぞれ1/6ずつとなります。
子供や父母もおらず、配偶者と兄1人がいる場合、配偶者と兄1人が法定相続人となります。法定相続分は、配偶者が3/4、残りの1/4を兄が受け取ることになります。

この法定相続分に基づいて、税率をかけて相続税を計算することになります。

基礎控除を活用しよう!

税率だけ見ているととても高く感じますが、冒頭で触れた通り、実際に相続税を支払う人は10%にも満たないといわれています。
それは、相続税には基礎控除というものがあるからです。
相続税の税率を計算する前に、まずは遺産総額を割り出した後、基礎控除額を引くことになります。基礎控除額は3600万円+600万円×法定相続人になります。
法定相続人が1人の場合、4,200万円、法定相続人が2人の場合、4,800万円、法定相続人が3人の場合5,400万円が基礎控除額となります。そのため、この基礎控除額より遺産総額が低い場合、税金がかからないので、相続税は0円になります。

配偶者控除で配偶者はほとんど相続税がかからない!

基礎控除の他にも、配偶者控除というものが用意されています。
配偶者控除は、配偶者が相続する遺産が1億6,000万円に満たない、または1億6,000万円を超えても法定相続分以内であれば、相続税がかからないというものです。
例えば、配偶者と子供が法定相続人だとして、基礎控除を利用したあとの課税遺産総額が1億5,000万円だとします。法定相続分によると、配偶者と子供がそれぞれ7,500万円ずつ相続することになりますが、遺言や遺産分割協議によって配偶者が全額相続することになれば、1億6,000万円までは税金がかからないので、相続税は0円になります。
これを、法定相続分に従って7,500万円ずつ相続したとしたら、配偶者は変わらず相続税がかかりませんが、子供は税率30%、控除額700万円によって、7500万円×0.3-700万円=1,550万円の税金を支払うことになります。
もちろん子供の立場としては税金を支払ったとしても7,500万円を相続できることになるので、相続したい場合は遺産分割協議や法定相続分に基づいて決めていく必要があります。

その他の控除も活用しましょう

相続税の控除には、配偶者控除以外にも
・未成年者控除
・障碍者控除
・相次相続控除
・贈与税額控除
などがあります。
基礎控除を利用しただけでは相続税がかかる場合、これらの控除を利用すれば相続税を減額することができるかもしれません。
その他にも、不動産で相続を行ったり、養子縁組を行って節税する方法もあります。
相続税を節税したい、という方は一度税理士に相談してみるのがおすすめです。

まとめ

日本の相続税は最高で55%と、世界的に見てもかなり高く設定されていますが、基礎控除や配偶者控除も用意されているため、実際に相続税を支払う人はとても少ないです。
税金を支払うことになった場合でも、相続人を誰にするか、他の控除をどう利用するか、などを工夫することで相続税を減額することができるかもしれません。
相続税を安く抑えたい、という場合は税理士に相談してみましょう。