住民税などの支払いは、数日遅れたくらいでは何か言われるようなことはありませんが、相続税の支払いに関しては延滞に厳しく、1日でも送れると翌日から延滞税というものがかかってしまいます。
また、申告が遅れると無申告加算税というのもかかってしまい、相続税が20%ほど高くなってしまうかもしれません。
相続税の申告漏れ、申告間違い、延滞にはペナルティが
相続税の申告は、被相続人が亡くなってから10ヶ月以内にする必要があります。ただ、遺産の種類が多かったり、誰が相続するか話し合っていると、10ヶ月というのはけっこうあっという間に過ぎてしまいます。
しかし、10ヶ月以内にきちんと申告しなかった場合、無申告加算税というペナルティが課せられることになります。
また、無申告加算税を課せられた場合、支払いも同時に送れていることになるので、延滞税もかかることになります。
さらに、誤って申告したら過少申告加算税が、財産を隠して申告していた場合には重加算税が課せられることになります。
無申告加算税とは?どれくらいかかる?
では無申告加算税とはどのくらいかかるのでしょうか。
無申告加算税は、申告から2週間が過ぎてしまい、税務調査を受けて後から申告した場合にかかってきます。
相続税金額の15%、相続税金額が50万円を超える分に対しては20%の無申告加算税がかかってきます。例えば1,000万円の相続税を支払う予定であれば、50万円×15%+950万円×20%=197万5,000円の加算税がかかることになります。
申告が2週間過ぎるだけで約200万円、余分に払うことになるとなると、かなり大きな金額ですよね。
また、税務調査を受ける前に自分で気づいて申告した場合でも、5%の無申告加算税が課せられます。
2週間は猶予期間になっているので、2週間以内に申告すれば、加算税はかかりません。
延滞税とは?どのくらいかかる?
延滞税とは、相続税の支払期限を過ぎてしまうとペナルティとして課せられる税金で、無申告加算税が課せられている時点で支払いも遅れていることになるので、必然的に延滞税もかかることになります。
延滞税は、2カ月以内であれば相続税金額の2.9%、2カ月を過ぎている場合は年9.2%が課せられることになります。
気がついたらできるだけ早く税務署に連絡するようにしましょう。
延滞税は連帯責任?
延滞税は、自分が支払いをきちんとしていたとしても安心してはいけません。相続税には「連帯納付義務」という制度があり、他に相続人がいる場合、他の相続人が延滞していたら連帯責任で自分に請求がくる可能性があります。
連帯義務でお互いに迷惑をかけないよう、相続の話し合いの際に、きちんと相続税を支払えそうかどうか、ということも考慮して分割協議をするようにしましょう。例えば借金がある人は、相続をしたらその金額を借金の返済に充ててしまい、相続税の支払いを後回しにしてしまうかもしれません。
そのあたりのこともしっかり考慮して、だれがいくら相続するか話し合うようにしましょう。
過少申告加算税とは?どのくらいかかる?
過少申告加算税とは、間違って相続税を少なく申告してしまうことです。
税務調査で過少申告したことを指摘された場合に、新たに納めることになった金額10%相当が課せられます。
ただ、自主的に申告すれば過少申告加算税は課せられません。
重加算税とは?どのくらいかかる?
重加算税とは、財産を隠して相続税を申告したり、証拠書類を偽造して申告した場合に課せられるペナルティです。
相続税金額の35%が重加算税となります。また、相続税が発生しないように偽造した場合や申告せずに財産を隠した場合は40%が課せられます。
国税庁では、銀行口座の残高や不動産の情報、死亡保険金などについてある程度把握しています。
偽造したり財産を隠したとしてもほとんど場合バレてしまうので、絶対にしないようにしましょう。
相続税の納税がなくても申告は必要
相続税の申告は、基本的に基礎控除額内であれば必要ありません。
しかし相続税には、基礎控除の他に、配偶者控除や小規模宅地等の特例など、控除がたくさん用意してあります。
特に配偶者控除については、1億6,000万円まで相続税がかからないので、ほとんどの人が相続税を支払わなくていいようになっています。また、小規模宅地等の特例では、被相続人が住んでいた家に相続人が住む場合、土地の評価額を20%程度にまで下げることができます。そのため、課税対象となる資産額がグッと抑えられ、相続税がかからなくなることがあります。
しかし、基礎控除以外の控除で納税が亡くなった場合でも、どうして納税がなくなったのかきちんと申告する必要があります。
小規模宅地等の特例を活用する場合は、相続税がその家に住むことをきちんと証明しなければなりません。
納税がなくても、きちんと申告をしなかった場合申告漏れとみなされてしまうので、注意しましょう。
ペナルティを受けないために
これらのペナルティを受けないために、まず相続人同士での書類準備が心配であれば税理士に相談するようにしましょう。
故意的にではなくとも、財産の数え間違いをしていたり、相続分割において計算間違いをしてしまうと、後でペナルティの対象となる可能性があります。また、逆に本来より多く相続税を支払っていた、ということにもなりかねません。
相続税の支払いが難しそうであれば、延納といって相続税の支払いを分割にする方法もあります。
もちろん被相続人の生前からある程度お金の準備をしておくのが最善ですが、人が亡くなるタイミングというのは予測できないことでもあります。突然相続することになり、相続税の支払いが難しい場合は、すぐに延納制度の活用を考慮し、必要な書類など準備するか税理士に相談するようにしましょう。
延滞税は相続人同士で連帯責任となるため、相続人の中に借金がありそうな人がいたり、支払いが厳しそうな人がいれば、誰がいくら相続するかということも、あらかじめしっかり話し合うようにしましょう。相続人同士でなかなか話し合いがまとまらない場合は、弁護士に間に入ってもらうのもいいでしょう。
後からペナルティを課せられて、多く相続税を支払うことにならないよう、前もってできることはしておきたいですね。
まとめ
相続税の支払いは、他の税金と比べてもペナルティが厳しく用意されています。
故意的にではなくても、申告が遅れたり、支払いが送れることでどんどんペナルティが課せられ、どんどん支払いが厳しくなることもあります。
手続きがめんどくさい、支払いが厳しそうだから放っておきたい、と先延ばしにしていまうと、ペナルティが増えて最終的に支払う金額がかなり増えてしまいます。
支払いが厳しい場合は分割で支払う延納という制度も用意されているので、早めに検討するようにしましょう。