相続税を支払うことになったけど、どこでどうやって支払えばいいか分からない、という方はけっこういらっしゃいます。
住民税などは請求書が送られてきて、コンビニなどでも手軽に支払うことができますが、相続税はどうやって、どこで支払うのでしょうか。

相続税は納付書を自分で作成する

住民税や所得税を支払ったことがある方は分かるかもしれませんが、支払う時は口座引き落としや、もしくは自宅に支払い書が届きます。そのため、特に何もしていなくても支払いが済んでいたり、支払い書が送られてくるので、支払う金額や期限なども明確です。
しかし相続税の場合、相続税がいくらになるのかというのは自分で計算し、納付書も自分で作成する必要があります。もちろん税理士に相続税の相談をすれば、計算から納付書の作成まで全て依頼できるので自分で何かする必要はありません。

相続税の支払いは相続人ごとに

相続税自体は、相続した遺産全額に対していくらかかるか計算しますが、実際にはそこから各相続人の遺産の取り分によって、それぞれ相続税がいくらになるのか計算します。そのため、1つの相続に対して一括で相続税を支払うのではなく、各相続人がそれぞれの相続税を支払うことになります。

相続税を支払う場所は銀行かコンビニ

相続税の金額が分かって納付書を作成したら、その納付書を持って、銀行に行けば支払うことができます。
銀行は地方銀行や信用金庫、郵便局などでも支払い可能です。税務署の窓口でも支払いができますが、どこの税務署でもできるというわけではなく、相続税の申告書を提出できる税務署でなければ支払いもできないので注意しましょう。

また、相続税の金額が30万以下であれば、コンビニでも支払うことができます。コンビニで支払う場合は、事前に納付書を税務署に持って行き、バーコード付き納付書を発行してもらいましょう。

支払い期限は?

相続税の支払い期限は、被相続人が亡くなってから10ヶ月以内です。
相続税の申告も10ヶ月以内なので、両方遅れないように気を付けましょう。
納付が送れると、延滞税というペナルティが課せられることになります。延滞税は2カ月以内であれば相続税金額の2.9%、2カ月を過ぎると9.2%が課せられることになります。相続税金額が1,000万円だとしたら、920万円も余分に支払うことになるんですね。
被相続人が亡くなってから、葬儀の手続きや役所への届けなどしていると、意外と10ヶ月はあっという間に過ぎてしまいます。途中からあわただしくなって、最終的に間に合わなくて延滞税がかかってしまった…ということにならないよう、早めに準備を進めるようにしましょう。

支払い方は4種類!現金やクレジットカードもOK?

では実際に支払い方法ですが、支払い方には4種類あります。

現金

一番一般的なのが全金支払いです。銀行や郵便局、税務署で支払うことができます。
現金で支払う時は一括で支払います。銀行や郵便局に、相続税の納付書を持参し、現金を用意して支払いに行くようにしましょう。
コンビニで支払う場合は、税務署であらかじめバーコード付きの納付書を発行してもらう必要があります。また、コンビニ払いの際は30万円以内という決まりがありますが、相続税申告の際に納付書も発行してもらっておけば後でいつでも払うことができるので便利です。

クレジットカード

平成29年より、相続税をクレジットカードで支払えるようになりました。
普段は仕事が忙しくて銀個や郵便局になかなか行けない、という方はクレジットカード払いが向いています。クレジットカード支払いをする場合は『国税クレジットカード支払いサイト(https://kokuzei.noufu.jp/)』にアクセスしましょう。
クレジットカードで支払うことで、クレジットカードのポイントを貯めることができます。
ただ、クレジットカード支払いの場合、手数料がかかってしまいます。手数料の金額は下記のとおりです。

納付金額 決済手数料(税込)
1円~10,000円 82円
10,001円~20,000円 164円
20,001円~30,000円 246円
30,001円~40,000円 328円
40,001円~50,000円 410円

以降、10,000円を超えるごとに82円が加算されていきます。そのため、クレジットカードで支払う場合、10,000円で82円分以上のポイントがつかないと、手数料のほうが高く、損してしまうことになります。
また、クレジットカードで支払う時は、1回で1,000万円までと上限があります。それを超える場合は複数回に分けて支払いする必要がああり、同じクレジットカードで支払う必要があります。クレジットカードの月々の利用上限もあるので、クレジットカードで支払う場合、手数料とポイントとの兼ね合い、上限を超えていないか、など一度確認するようにしましょう。

延納

現金やクレジットカードでの支払いは基本的に一括になりますが、一括での支払いが難しい場合は延納という制度もあります。延納は、国から借金をして、分割払いにしてもらう方法です。
遺産のうち、不動産など現金化が難しいものが多い場合、遺産総額が高くて相続税も高いけど、現金での支払いがすぐにできない、ということもあるでしょう。
ただ、延納をするには下記の条件を満たす必要があります。

1.相続税の納税額が10万円を超えている
2.金銭で納付することが困難である
3.期限までに延納申請書と担保提供関係書類を提出する
4.延納税額に相当する担保を提供する

延納についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。(相続税の延納・物納とは?分割で払うことはできる?

国からお金を借りていることになるので、もちろん利子は発生してしまいます。返済期間や、遺産の不動産が占める割合にもよりますが、だいたい年3.6~6%になります。延納を利用する場合、書類を提出して審査を受ける必要があるので、利用したい方は早めに準備を始めるようにしましょう。

物納

延納でも納税が難しい場合は、物納という物で納税する方法もあります。
ただ、国としてはできるだけ現金で納税してほしいので、利用できる限度額は延納よりも少なくなります。
不動産や有価証券、船舶、非公開株などが物納として認められています。
ただ、こちらも審査があり、誰でも利用できるというわけではないので、どうしても審査に通りたい、という場合は税理士にアドバイスを求めたほうが賢明でしょう。

その他Q&A

Q.本人以外の、他の相続人が相続税を支払ってもいい?

A.他の相続人が相続税を支払うと、お金を贈与したとして贈与税が発生する可能性があります。
もし誰かがまとめて払う場合は、後日清算する必要があります。

Q.相続税は振込で払えますか?

A.相続税は振込で払うことはできません。銀行や郵便局で現金で支払うか、クレジットカードで支払うようにしましょう。

Q.1日でも支払いが送れると延滞税がかかりますか?

A>延滞税は、1日でも納付期限を過ぎると支払う必要があります。

Q.納付日は相続人全員が同じじゃないといけませんか?

A.納付日は相続人ごとに違っても問題ありません。

Q.他の相続人が納付日を過ぎていますが、何か影響がありますか?

A.相続税の支払いは、相続人が複数人いる場合連帯責任が発生してしまいます。
そのため、他の相続人の支払いが送れている場合、あなたに請求がくる可能性があります。

まとめ

相続税の納め方は大きく分けて4つ、現金、クレジットカード、延納、物納になります。
クレジットカード払いだと、ポイントがつきますが手数料もかかるので、ポイントと手数料の差を見て検討するようにしましょう。
現金もクレジットカードも一括払いになりますが、それが難しい場合は延納、物納という方法もあります。

ただ、延納と物納は手軽に利用できるものではなく、審査が必要になるので、一括払いが難しそうな場合は早めに書類を提出して審査を受けるようにしましょう。