被相続人が駐車場を経営していた、駐車場を相続した場合、相続税はかかるのでしょうか。
駐車場であっても被相続人の財産とみなされるため、相続税はかかります。しかし、駐車場の形態によっては小規模宅地等の特例という特例が利用できるため、評価額をグッと下げることができます。
では、小規模宅地等の特例が利用できるのは、どんな駐車場でしょうか。また、どのくらい相続税を抑えることができるのでしょうか。
小規模宅地等の特例とは?
小規模宅地等の特例とは、相続した土地の評価額を下げることができる特例です。
例えば5,000万円の評価額の土地を相続したとすると、普通はこの5,000万円が相続税の課税対象となります。しかし小規模宅地等の特例を適用すると、土地の評価額を50~80%下げることができるので、1,000~2,500万円にまで下げることができます。この下げた金額が課税対象となるので、相続税を抑えることができます。
駐車場では、小規模宅地等の特例が適用できると50%評価額を下げることができます。ただ、駐車場に小規模宅地等の特例を適用するには条件があります。
青空駐車場は特例が適用できない?
駐車場、と一言で言っても、きちんと看板を出してコインパーキングにしているところから、空き地にロープなどで区切りをつけただけの青空駐車場もあります。
小規模宅地等の特例を適用させるには、駐車場が「貸付事業用宅地等」として認められるかどうかが基準になります。貸付事業用宅地として認められるためには、
- 土地の上に建物または構築物があること
- 相当な対価を得て継続的に行っていること
が条件となります。
青空駐車場だと、特に建物や構築物がなく、また貸主の都合でいつでもやめることができてしまうため、貸付事業用宅地としては認められません。
特例を受けることができるための駐車場の具体例
では具体的に、どういった駐車場であれば、小規模宅地等の特例を受けることができるのでしょうか。
砂利が敷かれている駐車場
砂利がきちんと敷かれている駐車場は、土地の上に構築物があるとみなされるので、貸付事業用宅地と認められ特例を受けることができます。
砂利を敷いてから何年も経っている場合、砂利が土に埋まって「構築物がある」とみなされない場合があるので、相続の前に敷きなおすようにしましょう。
アスファルト舗装されている駐車場
アスファルト舗装されている駐車場も、土地の上に構築物があるとみなされます。アスファルト舗装されているということは、その後も継続して駐車場を経営していくということが伝わります。
ただ、全面ではなく入り口部分のみ、など一部しかアスファルト舗装されていない場合は、アスファルト舗装されている面積のみに小規模宅地等の特例が適用されます。
例えば、20%だけアスファルト舗装されている場合、20%だけ小規模宅地等の特例が適用され、残りの80%は適用されずそのまま相続税の課税対象となります。
コインパーキング
コインパーキングとして運営している場合、特に問題なく小規模宅地等の特例を受けることができます。
土地だけ持っていて、コインパーキングの業者に貸し出している場合もあるでしょう。アスファルト舗装しているだけでなく、看板をつけていたり精算機というものは構築物としてみなされるので、この場合も問題なく特例を受けることができます。
小規模宅地等の特例を受けられない駐車場
では逆に、特例を受けられない駐車場はどんなものがあるでしょうか。
青空駐車場
持っている土地にロープで区切ったり止め石を置いているだけの青空駐車場は、構築物があるとは言えないので、特例を受けることができません。
砂利を一部引いているような場合も判断が難しいですが、「事業性があるかどうか」が重要なポイントです。きちんとアスファルト舗装していたり、砂利をしっかり敷き詰めているような場合、それなりに資本を投下しているため事業性があると判断されます。
しかしロープを張っただけ、止め石を置いただけでは、ほとんど資本はかからず、事業性があるとは判断されなくなります。
もし青空駐車場を運営していて、これから相続が発生しそうな場合は、砂利を敷き詰めたりアスファルト舗装するのがおすすめです。
知人や親族に低額や無料で貸し出している
貸付事業用宅地とみなされるためには、「相当な対価を得て継続的に行っていること」が条件になります。
そのため、低額や無料で貸し出している場合には、貸付事業用宅地とは認められません。
自家用車を停めている
自家用車を停めている場合は、その部分に関しては貸付事業用宅地とは認められません。
あくまで貸付を行っている部分に関してだけ小規模宅地等の特例を受けることができ、自家用車を停めている部分は特例を受けることができません。
小規模宅地等の特例を受けたらどれくらい相続税が減る?
駐車場の相続で小規模宅地等の特例を受けると、土地の評価額は50%減らすことができます。
面積については200㎡までなので、200㎡を超える部分に関しては評価額はそのままになります。
例えば、400㎡の駐車場を相続し、土地の評価額が5,000万円だとします。
200㎡までは小規模宅地等の特例が適用できるため、5,000万円×(200㎡/400㎡)=2,500㎡には小規模宅地等の特例が適用され、評価額は50%の1,250万円に減額されます。
残りの200㎡分、2,500万円についてはそのままなので、合計で3,750万円が課税対象となります。
小規模宅地等の特例が適用される前と後では1,250万円の差があるので、大きいですよね。
まとめ
駐車場の相続で小規模宅地等の特例を受けるためには、土地の上に構築物があるかどうかがポイントになってきます。
アスファルト舗装をしていたり、砂利を敷き詰められている場合は構築物があるとみなされます。
青空駐車場では小規模宅地等の特例を受けることはできません。
もし駐車場の相続が発生しそうで、小規模宅地等の特例を受けられるように確認したい場合、一度税理士に相談してみるのがいいでしょう。