遺産を相続、というとお金や不動産のイメージが強いですが、中には山林を相続する人もいるでしょう。
山林を相続した場合、相続税はどれくらいかかるのでしょうか。
また、もし売却したいと思ったら、どのように売却したらいいのでしょうか。
山林の相続は意外とある?
山林を相続する、というとあまり聞きなれないかもしれませんが、1970~1980年代にかけて、「野原商法」というものが流行りました。
野原商法とは、本来値上がりするはずのない山林を、「今買っておけば将来高値で売れますよ」と騙して高値で売ることです。当時、被害に遭った人は相当な数いると言われています。
その当時山林を買ったけど、値上がりするわけでもなく持ち続け、固定資産税だけ支払っている、という人がたくさんいるんです。そしてそのまま持ち続け、売却の仕方もよく分からず、相続してしまった、という人がたくさんいるんです。
中には、親から山林を相続したけど、親が山林を持っていたことすら知らなかった、というケースも珍しくありません。
では山林を相続した場合、相続税はどれくらいかかるのでしょうか。
山林の評価額の決め方
相続税を計算するには、まず相続した山林がいくらとして評価されるのか、評価額を知ることから始まります。
山林と一口に言っても、評価額を決める上では以下の3種類に分けられます。
- 純山林
- 中間山林
- 市街地山林
どれに該当するかは倍率表を見ると分かります。
純山林とは、市街地から離れている山林のことを指します。
市街地山林とは、市街地にあり、宅地の影響を受ける山林のことを指します。住宅地内や、住宅地に隣接している山林のことです。
中間山林とは、純山林と市街地山林の中間のような山林のことを指します。
純山林と中間山林は、倍率方式で評価額を求めます。具体的には、
固定資産税評価額×倍率=山林の相続税評価額
となります。
固定資産税評価額は、毎年役所から送られてくる固定資産税の課税証明書に記載されています。倍率については、国税庁のホームページから確認することができます。
例えば、固定資産税評価額が300万円の山林を相続したとします。倍率が3.5倍だとしたら、相続税の評価額は1,050万円になります。
市街地山林の相続税評価額は宅地比準方式で求めます。宅地比準方式では、山林が宅地であるとした場合に、山林を宅地にするための費用を引いた金額で評価します。
山林を宅地であるとした場合の評価額−山林を宅地にするための費用=山林の相続税評価額
例えば、相続した山林を宅地であるとした評価額が2,000万円、その山林を宅地にするのにかかる費用が1,500万円だとしたら、相続税の評価額は500万円になります。
また、市街地山林であっても、倍率方式で評価額を求める場合がありますが、それは国税庁のホームページに記載されている評価倍率表で確認することができます。
山林を売却したい場合は
山林を相続しても活用できない、売却したい、という方もいますよね。持っていても活用できない場合、毎年固定資産税だけがかかってしまいますし、将来的にまた相続する場合、相続税が負担になる可能性があります。ではもし売却したい場合、山林はどうやって売却するのでしょうか。
山林を売却する場合、山林を丸ごと売却する方法と、木を伐採して売却する方法があります。
ただ木を伐採して売却する方法は、伐採して木の処理、搬出、運搬などかなりの費用がかかります。また、伐採して搬出するための道の整備をしたり、良い木を育てるために間伐する必要があったりと、簡単に始められるものではありません。買い取ってくれることろも見つけなければならないので、山林を丸ごと売却するほうが現実的でしょう。
では山林を丸ごと売却する場合、いくらくらいで売れるのでしょうか。
山林の評価額は、敷地面積だけでなく、どんな木が生えているか、土壌の状態はどうか、管理しやすいかどうか、伐採した木の搬出路があるかどうか、間伐はされているかどうか、などによって大きく変わってきます。
いくらで売れるか知りたいという方は、一括査定を依頼するのがおすすめです、山林専門ではなく、不動産の一括査定になりますが、サービスによっては山林も査定してくれるものがあります。
山林も一括査定してくれるのは、イエイとオウチーノです。
また、大体の相場を調べると同時に買い手がいるかどうか調べるため、地元の不動産屋や森林組合に問い合わせることもしておくと、買い手が見つかりやすくなります。
買い手が見つからない時は引き取りや寄付も
もし買い手が見つからない場合、引き取りサービスを利用したり、寄付するという手もあります。
寄付先としては、各自治体に連絡してみるのがいいでしょう。窓口で相談してみて、寄付できそうなら土地の調査が入り、問題なければ必要書類を提出して寄付完了です。
引き取りサービスは有料のところもあるので、もしお金をかけたくないのであれば寄付のほうが安く済みます。
お金にはなりませんが、毎年の固定資産税がなくなれば、出費を抑えることができます。
山林が売却できたら税金はかかる?
山林が売却できると、山林譲渡所得税という税金がかかります。
山林譲渡所得税の求め方は、
課税譲渡所得={収入金額-諸経費(譲渡費用や取得費用など)}-特別控除額
で求めます。
必要経費とは、売却するためにかかった仲介手数料などになります。
この課税譲渡所得に対して税金がかかります。
まとめ
山林の相続、というとあまり聞きなれないかもしれませんが、意外と山林を相続してどうしたらいいか困っている、という人は多いんです。
山林の相続税は、倍率方式または宅地比準方式で求めますが、どちらで求めるかは倍率表を確認しましょう。
また、山林は毎年固定資産税がかかりますし、次の相続の際にも相続税がかかるので、利用していなければ売却したい、という方もいます。売却する際は、不動産会社に見積もりを依頼してみたり、森林組合に連絡して買い手を見つけましょう。
もし買い手が見つからない場合は、自治体に寄付したり引き取りサービスもあります。
売却して収入があった場合は税金がかかりますが、毎年毎年固定資産税を払いたくない、持っているだけでお金がかかるなら売ってしまいたい、という方は、売却や引き取りなどを検討してみましょう。