相続が発生すると、被相続人の葬儀などで弔慰金を受け取ることもあるでしょう。そんな時気になるのが、弔慰金に相続税がかかるのかどうか、ということではないでしょうか。
弔慰金には相続税がかかるのでしょうか。また、かかる場合は非課税枠などがあるのでしょうか。

弔慰金には相続税がかかる?

弔慰金とは、被相続人が勤めていた企業から、遺族へ慰めとして贈られる金銭のことです。
弔慰金の金額は企業によって違いますが、被相続人の毎月のお給料の金額や勤続年数などによって変わってきます。

では弔慰金には相続税はかかるのでしょうか。
答えとしては、一定の金額までは非課税ですが、一定の金額を超えると死亡退職金として相続税がかかってしまいます。

非課税の金額は?

では弔慰金に相続税がかからない、非課税の金額とはどれくらいなのでしょうか。
非課税の金額は、被相続人の死が業務上だったか、業務上ではなかったかによって変わってきます。

被相続人の死が業務上である場合

被相続人の死亡当時の、給与3年分に相当する額

被相続人の死が業務上でない場合

被相続人の死亡当時の、給与半年分に相当する額

このように、業務上の死かどうかで金額が大きく変わってきます。
例えば仕事の車を運転中に亡くなった場合など、企業としても申し訳ないという気持ちから多く弔慰金を贈る傾向にあります。そのため、相続税の非課税金額も大きくしてあるのです。

弔慰金と死亡退職金の両方を受け取った場合は?

弔慰金の非課税額を超えると死亡退職金として相続税がかかることになりますが、弔慰金と死亡退職金を両方受け取っている場合はどうなるのでしょうか。
企業によっては、弔慰金だけでなく、死亡退職金も一緒に支払う場合があります。
両方受け取った場合は、相続税の計算はどのようになるのでしょうか。

1.弔慰金の非課税額を計算

まず、弔慰金だけを見て、弔慰金の非課税額を計算します。
非課税額を超えた分に関しては、死亡退職金の金額に上乗せします。

2.死亡退職金の非課税額を計算

死亡退職金の非課税額は、500万円×法定相続人の数、で求めます。
法定相続人が1人の場合は500万円、3人いたら1,500万円になります。

受け取った死亡退職金と、非課税額を超えた弔慰金がある場合はその金額を足して、死亡退職金の非課税額を超えるかどうかを計算します。

3.死亡退職金の非課税額を超えたら相続税の課税対象に

もし死亡退職金の非課税額を超えるようであれば、超えた金額は相続税の課税対象としてカウントします。

弔慰金と死亡退職金を両方受け取った例

Aさんの場合

Aさんが業務上以外で亡くなり、弔慰金を600万円、死亡退職金を500万円受け取ったとします。
亡くなった当時の給与は月50万円、法定相続人は配偶者と子供1人です。
この場合、弔慰金の非課税額は50万円×半年で300万円になるので、残りの300万円が死亡退職金として上乗せされます。
死亡退職金の非課税額は500万円×2人で1,000万円なので、死亡退職金500万円と弔慰金の残り300万円を足した800万円は、非課税額に収まるため、相続税の課税対象はないことになります。

Bさんの場合

Bさんが業務上以外で亡くなり、弔慰金を500万円、死亡退職金を700万円受け取ったとします。
亡くなった当時の給与は月40万円、法定相続人は配偶者のみです。
この場合、弔慰金の非課税額は40万円×半年で240万円になるので、残りの260万円が死亡退職金として上乗せされます。
死亡退職金の非課税額は500万円×1人で500万円なので、死亡退職金700万円と弔慰金の残り260万円の960万円は、非課税額は500万円を超えて、460万円が相続税の課税対象となります。

まとめ

弔慰金は遺族の慰めのために企業から贈られるものですが、一定の金額を超えると相続税がかかることになります。
非課税枠も用意されていますが、超える場合は死亡退職金として相続税がかかることになります。
死亡退職金にも非課税枠がありますが、死亡退職金ももらっている場合、それを超えることもあるでしょう。超えたら相続税の課税対象になるので、覚えておきましょう。