相続税の支払いは、以前は現金のみでしたが、平成29年1月4日からクレジットカードで支払いができるようになりました。
クレジットカードでポイントを貯めている方や、あまり現金を持ち歩きたくない方にとっては、クレジットカード払いができるようになったというのは朗報ですよね。

しかしクレジットカードで支払うにはメリットだけでなく注意点もいくつかあります。

クレジットカード払いをするうえで、注意したほうがいい点とは何でしょうか。

相続税クレジットカード払いの概要

以前は一部の地方税のみクレジットカードで納付することが認められていましたが、平成29年1月4日から国税がクレジットカード払いに対応することになりました。
相続税をクレジットカードで納付する際は、「国税クレジットカードお支払サイト」を利用して支払いをします。税務署やコンビニでクレジットカード払いすることはできません。

利用できるクレジットカード

相続税の納付ができるクレジットカードは下記のとおりです。

Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、TS CUBIC CARD

基本的にどのクレジットカードでも利用することができます。

クレジットカードで相続税を納付するメリット

1.ポイントやマイルが貯まる

クレジットカードで納付できることの最大のメリットは、クレジットカードのポイントやマイルを貯めることができる、ということではないでしょうか。
相続税は場合によっては金額がとても高くるので、普段なかなか支払わないような金額を支払うことができ、その分ポイントやマイルが貯められるというメリットがあります。

2.分割払いや支払い期限を延ばすことができる

相続税を現金で支払う場合は期限内に一括で支払う必要があります。
しかしクレジットカードで支払えば、通常のショッピングと同じように、リボ払いに対応しています。リボ払いだと手数料がかかりますが、3回、5回、6回、10回、12回など、分割にして支払うことができます。
納付期限までにまとまったお金が用意できない場合は、このリボ払い機能がとても役に立ちます。
また、リボ払いにしなくても、クレジットカードで支払うことで、クレジットカードの引き落とし日まで支払いを先延ばしにすることができます。

3.24時間いつでも納付できる

現金で支払う場合、税務署など平日の日中に限られていますが、お仕事が忙しい方などなかなか時間がとれませんよね。
クレジットカード払いであれば、24時間いつでも納付することができるので、忙しい方にも向いています。

4.現金を持ち歩く必要がない

相続税は、場合によっては金額がとても高くなります。それを現金で支払う場合、お金を用意して現金を持ち歩かなければなりません。しかし、何百万円、何千万円という現金を持ち歩くのはこわいですよね。
クレジットカード払いであれば現金を持ち歩く必要がないですし、税務署の窓口に出向く必要もありません。

5.利用明細で把握しやすい

平成29年1月4日より、相続税だけでなく他の国税もクレジットカードで支払えるようになりました。
クレジットカードで支払うことにより、利用明細書を見ることができるので、何の税金をいつ支払ったか、というのが把握しやすくなります。

クレジットカードで相続税を納付するデメリットと注意点

では逆に、デメリットや注意点はあるのでしょうか。

1.決済手数料がかかる

相続税をクレジットカードで支払う場合、決済手数料が加算されることになります。
決済手数料は、相続税が1万円未満の場合は76円(消費税別)、以後1万円を超えるごとに76円がかかります。
「国税クレジットカードお支払サイト」で手数料を計算することができます。

目安としては下記のようになります。

納税額

決済手数料(消費税込)
10万円

820円
50万円

4,104円
100万円

8,208円
300万円

24,624円
500万円

41,040円

割合でいうと、納税額に対する決済手数料は、0.82%になります。
もしクレジットカードのポイント還元率がこれよりも低い場合、ポイントやマイルは溜まりますが、手数料のほうが高くなってしまい、損してしまいます。普通のクレジットカードであれば、だいたい還元率は5%程度に設定されています。そのため、クレジットカードを利用するとかえって手数料のほうが高くついてしまうことが多いです。
クレジットカードでポイントやマイルを貯めたい場合は、還元率をしっかり確認するようにしましょう。

2.領収書が発行されない

現金で支払う場合、領収書を発行することができますが、クレジットカード払いの場合、基本的に領収書が発行されません。クレジットカードの利用明細書で支払い内容を確認することになります。
納税証明書は発行申請すれば発行可能ですが、3週間程度日数がかかる場合があるので早めに申請するようにしましょう。

3.限度額が決まっている

クレジットカードで納税する場合、1回の納付手続きで1,000万円までと決まっています。そのため、1,000万円を超える場合は複数回手続きする必要があります。
また、クレジットカードの上限額までしか支払えないので、注意が必要です。

クレジットカードで相続税を支払う手順

クレジットカードで支払う場合、「国税クレジットカードお支払サイト」から手続きをします。
注意事項を確認したのち、納付情報とクレジットカード情報を入力して支払い手続きをするようにしましょう。

まとめ

以前は相続税は現金一括払いしかできませんでしたが、今はクレジットカードで納税することが可能になりました。
ポイントやマイルと貯められるというメリットがありますが、決済手数料を負担する必要があるため、ポイント還元率によっては損をしてしまうことになります。どちらで支払うのがいいか確認するようにしましょう。
また、クレジットカード払いではリボ払いをすることもできるため、支払い期限までにまとまったお金が用意できない場合にも向いています。