相続が発生してしばらくすると、『相続税についてのお尋ね』という郵便物が届くことがあります。
税務署から郵便物が届くとびっくりしますが、きちんと対応すればけっしてこわいものではありません。
ただ、場合によっては放置せずきちんと回答する必要があるので、回答方法など見ていきましょう。
相続税についてのお尋ねとは?
相続税についてのお尋ねとは、税務署から送られてくるもので、相続が開始して6~8ヶ月ごろに送られてきます。
「相続税の申告要否検討表」が入っていて、必要事項を記入して返送します。
このお尋ねが送られてきたからといって、脱税や不正を疑われているわけではありません。ただ、相続税の申告は、相続が発生してから10ヶ月以内にする必要があります。
そのためこのお尋ねが送られてきたということは、申告期限が迫っていることを意味します。
もし申告が遅れてしまうと、罰金などのペナルティが課せられることもあるので注意が必要です。
では、相続税についてのお尋ねはなぜ送られてくるのでしょうか。
相続税についてのお尋ねには、相続税の申告を促す効果があります。
被相続人が亡くなると、各市町村の役場から税務署にその通知がいくことになっています。税務署は、固定資産課税台帳や保険会社から提出される保険金の支払調書をもとに、被相続人の財産がどれくらいありそうか、というのを調査します。その結果、財産が多く相続税がかかっていそうだと判断すると、相続税のお尋ねを送るということになっています。
相続税についてのお尋ねは、絶対回答しないとだめ?
では相続税についてのお尋ねが来たら、必ず回答しなければならないのでしょうか。
基本的には回答したほうがいいですが、回答しなくていい場合もあります。
税理士に依頼している場合は回答しなくてもいい
税理士に相続税の相談を依頼して準備を進めている場合は、回答しなくても大丈夫です。そのまま税理士に依頼して、期日までに提出するようにしましょう。
基本的には相続が発生してすぐに税理士に依頼している場合、税務署からお尋ねが届く前に手続きが終わっていることが多いので、お尋ねが届く可能性は低いです。
ただ、お尋ねが届くということは期限が迫っているということなので、もし時間がかかりそうであれば急いで進めましょう。
相続税がかからない場合は回答する
相続税の計算をして、基礎控除内で相続税がかからないことが分かった場合、回答の義務があるわけではありませんが、回答することをおすすめします。相続税についてのお尋ねが来ているということは、税務署から財産が多く相続税がかかっていそうと判断されているということです。
回答して、相続税が発生していないことを証明しておきましょう。
回答は嘘を書かないように
本当は相続税が発生しているのに、発生していないと嘘の回答を書くのはやめておきましょう。
相続税のお尋ねだけでペナルティが課せられることはありませんが、後に財産を隠していたことが税務慮にバレた場合は、相続税に加えて相続税額の40%の重加算税が課せられることになります。
万が一間違えて回答してしまった場合は早めに税務署に連絡しましょう。
また、最終的な内容は相続税申告書で判断されるので、相続税がかかり申告義務がある場合は正しい内容で申告するようにしましょう。
相続税についてのお尋ねの書き方
相続税についてのお尋ねには、『相続税の申告要否検討表』という用紙が入っています。この用紙に記入して返送します。
1.亡くなった方の情報
亡くなった方の、住所、氏名、生年月日、亡くなった日を記入します。
また、亡くなった方の職業と勤務先を、亡くなる直前とそれ以前に分けて記入します。亡くなった方が高齢の場合、亡くなる直前は無職であることが多いので、現役の頃の情報を記入しましょう。
2.相続人の情報
相続人の名前と続柄、合計人数を記入します。
多くの場合は配偶者と子供になりますが、子供がいない場合は孫や両親などを記入することになります。
相続放棄した人がいた場合でも、この時は記入するようにしましょう。
3.遺産(不動産)の情報
遺産の中に不動産がある場合、情報を記入します。
注意するのは、亡くなった方の名義の不動産だけでなく、亡くなった方が受け継いだ不動産があればそれも記入することです。不動産を相続した場合、名義変更しなくても罰則等がないため、先代から受け継いだ不動産がそのまま先代の名義になっている可能性があります。
その場合、先代の名義の不動産も記入するようにします。
不動産の内容を記入する際は、不動産の評価額も記入しなければなりません。
評価額の計算方法は、『路線価等』の欄に路線価を記入します。路線価についてはこちらの記事でご紹介しています。
路線価がない場合は、固定資産税の納税通知書に記載されている固定資産税評価額を記入します。
『倍率』の欄には、路線価がないがない場合に記入します。倍率は国税庁のホームページで確認できます。
4.遺産(金融資産)の情報
金融資産は、被相続人が亡くなった日の時点での情報を書きます。株式や預貯金、投資信託等の情報を記入します。
株式や投資信託は銘柄、株数または口数、金額を記入します。
自宅に現金が合った場合は現金の金額も記入します。
5.保険金、死亡退職金の情報
亡くなった人の遺産だけでなく、相続人が受け取った保険金や死亡退職金があればそれも記入します。
6.その他の財産の情報
その他、車や美術品、骨董品などの財産がある場合は、買取業者に見積依頼をして、金額を記入します。
また、亡くなった人に借金や未納の税金があればそれも記入します。葬儀費用についても記入しましょう。
7.相続税の概算
6までを記入したら、最後に相続税の概算を記入します。
不動産や金融資産から、借金や葬儀費用を引き、遺産総額を割り出します。
また、相続税には基礎控除というものがあり、基礎控除内であれば相続税は発生しません。
基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数、になります。
この基礎控除額内であれば、相続税は発生しません。
最後に、回答する人の氏名、住所、電話番号を記入します。税理士が作成した場合は税理士の名前等を記入します。
まとめ
相続税についてのお尋ねが届いた際は、税理士に相続税の相談をしている場合は回答しなくても大丈夫ですが、それ以外であれば相続税が発生しないと分かっていても回答するようにしましょう。
不動産を相続した場合は、少し記入する項目が増えたり調べることが増えて手間ですが、財産を隠したりして相続税がないと嘘をついて申告してしまった場合、相続税に加えて相続税額の40%の重加算税が課せられることになります。
そのため、面倒ですが、きちんと回答するようにしましょう。
回答には、亡くなった人の情報や、遺産の情報、相続人の情報などを記入します。
遺産が多くなく、現金や預金などの金額が分かりやすいものであれば自分でも記入できますが、不動産や有価証券など計算が少し複雑なものが多いと、自分で全て計算して記入しなければなりません。
大変だと感じた場合は、税理士に依頼するのがおすすめです。