相続税は、申告をして支払いを済ませたら終わり、というわけではなく、申告にミスがあったり納付期限を過ぎてしまったりすると、ペナルティが課せられ追徴課税を支払うことになります。
せっかく申告をしたのに追徴課税が課せられるのは悲しいですよね。
では実際に、どんな時に追徴課税が課せられるのでしょうか。また、いくら支払うことになるのでしょうか。
追徴課税には4種類ある!
一言で追徴課税といっても、追徴課税には4つの種類があります。
延滞税
延滞税は、相続税の申告をしなければならない期限を過ぎてしまい、納付が間に合わなかった際に課せられる追徴課税です。
相続税の申告と納付は、被相続人が亡くなった翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。
気をつけなければならないのが、申告だけでなく納付も終わらせていないといけないということです。申告は終わっているけど納付は終わっていない、という場合でも延滞税の対象となってしまいます。
延滞税はいくら支払う?
では延滞税で支払う金額はどれくらいでしょうか。
延滞税は、納付期限をどれくらい過ぎているのかによって変わってきます。
納期限の翌日から2か月以内に納付した場合→「年7.3%」と「前年の11月30日の公定歩合+4%」のいずれか低い方
納期限から2か月を超えた場合→年14.6%
公定歩合(こうていぶあい)とは、日本銀行が他銀行にお金を貸し出す時の金利です。2019年8月現在で、前年11月03日の公定歩合は0.3%とされています。それに4%を足した3.4%と、7.3%の低い方が選ばれるので、3.4%がこれにあたります。
例えば、相続税の納付が本来1,000万円だった場合、2カ月以内に気がついて納付した場合、延滞税は1,000万円×3.4%の34万円が延滞税となります。本来の相続税1,000万円とは別で、34万円を納めることになります。
もしヶ月以内に気がつかず、1年を経過していた場合、年利14.6%なので、1,000万円×14.6%の146万円が延滞税となります。こちらも、本来の相続税1,000万円とは別に146万円を納めることになります。
過少申告税
過少申告税は、本来の相続税より少なく申告してしまった場合に課せられる追徴課税です。
過少申告してしまったことに自分で気がつき、自ら修正申告した場合には課せられません。また、税務調査の通知が来て、実際に税務調査が入る前に自ら修正申告した場合は、過少申告税が課せられますが税率は低くて済みます。そのため、気がついたら少しでも早く修正申告するのがおすすめです。
また過少申告税では、本来支払うべきだった金額との差額を支払い、さらにペナルティ分を支払うことになります。
過少申告税はいくら支払う?
税務調査が来る前に自ら修正申告した場合→0%
税務調査の通知が来て、実際に税務調査が入る前に自ら修正申告した場合→本来支払うべきだった相続税の5%
税務調査が入った後に修正申告した場合→50万円までは10%、それを超えた分に関しては15%
例えば、本来支払う相続税が1,000万円だったのに、800万円で申告してしまっていた場合、税務調査の通知が来てから実際に税務調査が来る前に自ら修正申告した場合、1,000万円×5%の50万円が過少申告税になります。
税務調査が入った後に修正申告した場合、50万円までは10%、残りの950万円には15%の過少申告税がかかるので、5万円+90万2,500円の95万2,500円が過少申告税になります。
実際に税務調査が入る前と後とでは、過少申告税の金額は大きく変わってきます。もし税務調査の通知が来たら、税理士に相談して早めに修正申告するのがいいでしょう。
無申告加算税
無申告加算税は、本来相続税を支払わなければならなかったのに、申告と納付をしなかった場合に課せられる追徴課税です。
相続税の申告は、たとえ遺産があったとしても、基礎控除額内であれば申告もしなくていいことになっています。そのため、基礎控除を超えていない、と思って申告しなかったり、そもそも故意的に申告していないような場合は無申告加算税が課せられます。
無申告加算税はいくら支払う?
税務調査の通知が来る前に自分で気づき、自ら申告をした場合→5%
税務調査の通知が来て、実際に税務調査が入る前に自ら修正申告した場合→50万円までは10%、それを超えた分に関しては15%
税務調査が入った後に修正申告した場合→50万円までは15%、それを超えた分に関しては20%
さらに、無申告加算税が課せられる場合は、延滞税も課せられることになり、故意的に財産を隠蔽していた場合は重加算税も課せられます。
例えば、1,000万円の相続税を無申告にしていた場合、税務調査の通知が来る前であれば、5%の50万円が無申告加算税になります。
税務調査の通知が来て税務調査が入る前であれば、50万円までは10%、それを超えた950万円分に関しては15%なので、95万2,500円が無申告加算税になります。
税務調査が入った後であれば、50万円までは15%、それを超えた950万円分に関しては20%なので、197万5,000円が無申告加算税になります。
重加算税
重加算税は、わざと財産を隠していた場合に課せられる追徴課税です。この重加算税が一番税率が高くなっています。
重加算税はいくら支払う?
重加算税では申告をした場合には本来支払うべきだった相続税の35%が課せられます。
無申告の場合は40%が課せられることになります。
例えば、1,000万円の相続税を隠蔽していた場合、申告すれば350万円、無申告の場合は400万円が重加算税として課せられます。
追徴課税が支払えない場合はどうする?
財産を相続していれば、ある程度はお金があるように思えますが、財産の内容によっては土地や不動産など手元にお金が残らないようなものもあります。
また、相続から日が経っている場合、現金は使ってしまっていたり、重加算税など税率が高い追徴課税が課せられた場合、支払いが難しいということもあるでしょう。
では追徴課税が支払えない場合はどうしたらいいのでしょうか。
追徴課税は国の税金なので、いかなる理由があっても支払わなければなりません。
そのため、カードローンなどでお金を借りてでも支払う必要があります。いつまでも支払わないでいると、財産の差し押さえが行われる可能性もあるので、気をつけましょう。
まとめ
追徴課税には4つあり、延滞税、過少申告税、無申告加算税、重加算税があります。
それぞれ税率は違いますが、できるだけ早く修正申告したり対応するほうが、税率は低く済みます。
もし気になる点があった方は、税理士に早めに相談するようにしましょう。