老後の生活のために大切な年金。 残された遺族にとっても必要なお金ですが、年金には相続税がかかるのでしょうか。
年金と言っても色々種類があるので、種類ごとに見ていきましょう。

年金に相続税はかかる?

高齢者が増えていっている今、年金受給者も増え、年金に関する問題も増えてきています。将来的には年金はもらえなくなるのではないか、といった不安の声もよく聞きますよね。
では相続では年金はどのように扱われるのでしょうか。
年金と一口に言っても、国民年金、厚生年金だけでなく、個人年金や遺族年金など様々な種類があり、相続税がかかるかどうかも種類によって変わってきます。ではどんな年金には相続税がかかり、どんな年金には相続税がかからないのでしょうか。

相続税がかからない年金

相続税がかからない年金としては、

  • 国民年金
  • 厚生年金
  • 遺族年金
  • 寡婦年金

があります。
国民年金と厚生年金は、公的年金としてまとめて見ていきましょう。

公的年金

公的年金(国民年金と厚生年金)は、偶数月の15日に、前月までの2ヶ月分がまとめて支払われます。
被保険者が亡くなった場合は、亡くなった月の分は遺族が受け取ることができます。
そのため、例えば4月25日に被相続人が亡くなった場合、4月の15日に2月3月分の年金は受け取っていますが、4月分の年金も受け取ることができるので、それについては次の6月15日に遺族が受け取ることができます。

この、最後に受けとった時から、被保険者が亡くなるまでの年金を、未支給年金と言います。
未支給年金は自動で受け取れるわけではなく、被相続人の三親等以内の親族が請求することによって受け取ることができます。

未支給年金は相続税がかからない

公的年金の未支給年金は、遺族が受け取ることになりますが、未支給年金は課税対象にならないことになっています。
未支給年金は被相続人の遺産ではなく、遺族の生活保障の一部として支給されたもの、として解釈されるからです。

また、未支給年金は遺族の一時所得として扱われます。所得ということは所得税の課税対象になりますが、一時所得には50万円の控除があります。50万円を超えなければ所得税はかかりませんが、公的年金の未支給年金が50万円を超えることはないので心配する必要はありません。

遺族年金

遺族年金とは、一定期間以上公的年金に加入していた人が亡くなった場合、生計を共にしていた配偶者や子供の生活を保障するために支払われる年金のことです。例えば、一家の大黒柱が亡くなると、その家族はその後の生活が一気に脅かされることになります。それをサポートするのが遺族年金です。
遺族年金には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の2種類があり、納付状況によってどちらか、または両方が受け取れます。

遺族年金は相続税がかからない

遺族年金は、遺族のその後の生活をサポートするのが目的なので、相続税だけでなく所得税もかかりません

寡婦年金

寡婦とは夫が亡くなった後も再婚せず一人でいる女性のことを指します。亡くなった夫と10年以上婚姻関係にあった、子供がいないということが条件で、60歳から65歳になるまで受け取ることができます。
男性は受け取ることができず、あくまで女性だけが受け取ることができる年金です。

寡婦年金は相続税がかからない

寡婦年金は公的年金の未支給年金と一緒で、相続税の課税対象になっていません

相続税がかかる年金

相続税がかかる年金としては、

  • 個人年金
  • 退職年金

があります。

個人年金

個人年金とは、公的年金の他に老後のために個人的に保険会社と契約を結ぶ生命保険のことです。
積立式になっていて、老後に一定期間受け取れる確定年金と、亡くなるまで受け取れる終身年金などがあります。

受給中に亡くなった場合、遺族がその権利を継承して残りの期間年金を受け取ることができます。

個人年金は相続税の対象になる

個人年金は、遺族が受け取ることで相続税の対象となります。
ただ、受け取り方によって少し計算方法などが変わってきます。

年金形式で受け取る場合→年金形式で受け取る場合、年金受給権の評価額がそのまま相続税の課税対象となります。また、毎年受け取ることになるので、雑所得として扱われます。所得になるので、毎年所得税の対象にもなってしまいます。
また、雑所得は総合所得になるので、住民税や国民健康保険料にも影響がでてきます。

一時金で受け取る場合→一時金で受け取る場合、それが遺産としてカウントされ、相続税の対象となります。年金形式で受け取る場合と違って、所得税などはかかりませんが、トータルで見ると受け取る金額は低くなってしまいます。

退職年金

退職年金とは、退職金を年金制度として分割で受け取ることができるものです。退職年金を受給している期間に受給者が亡くなった場合、残りの金額を遺族が受け取ることができます。

退職年金は相続税の対処になる

退職年金は相続税の課税対象となっているので、相続税がかかります。退職年金はもともと被相続人が受け取る権利があり、被相続人の財産としてカウントされるためです。
ただ、受け取るタイミングで非課税枠が適用されるかどうか変わってきます。
もし在職中に亡くなった場合、死亡退職金非課税枠が適用されるため、500万円×法定相続人の数、の金額が非課税となります。年金受給開始後に亡くなった場合は、非課税枠が適用されません。

まとめ

年金、と一口に言っても様々な種類があります。国民年金や厚生年金は相続税の対象にはなっていないので、相続税はかかりません。遺族年金と寡婦年金も課税対象外なので、相続税はかかりません。
個人年金と退職年金については相続税の課税対象となっているので、相続税がかかることになります。ただ、受け取り方や受け取るタイミングによって、非課税枠が適用されたり、所得税の対象となることもあるので、税金を抑えたい方はそのあたりも考慮するのがおすすめです。